日本:初出「ビッグコミック」1998年5月25日発売 No.841
フランス:エッセイ集「l'Apprenti Japonais」収録/レザンプレスィオン・ヌーベル社(2006)

 
 
 
日本女性はホントにすばらしい。

微笑みながらアナタに優しいまなざしを送り、何本も脚を持ってて (*1)、器用な指はなんでも上手にこなし、レストランでは常にワリカン、タカビシャでなく、フランス人女性みたいに人生背負ってはいない。そこにじっと誰かを待っているような面もち、セックスはいつだってオッケー、優しい言葉ひとつかけるか、もしくはドアを開けてあげるだけでウチョウテン…

日本女性はたいてい、いたるところにいる。

特に道ばたや、イタリアン・レストラン、スパゲッティ屋なんかに。しかもほとんどが女の子グループなんであるが、フシギなことに、日本の男は、男同士か、わざわざお金を払って女をともなうほうを好む。

ホントにもったいない! トウダイモトクラシ!

日本男子がプロの女とつきあっている間、スパゲッティ屋にいるボクらフランス男はまるで、羊小屋にいるオオカミのようなもの。よりどりみどりってのも、ある意味とても悩ましかったり。

  もしアナタが日本の女性を喜ばせたいのなら、スパゲッティ屋へ連れて行きなさい。周囲の女たちに彼氏同伴を見せびらかすことができて、彼女は大いに満足するであろう。ますますもって彼女のアナタへのまなざしは熱くなり、アナタはもうイチコロである。

ともあれ、いくつか難点はある。ここに2点、記しておく;

1. 日本女性は決してアナタを、昔の彼氏の話でウンザリさせないであろう。だがある日、現在(の、別の彼氏)について話し出す可能性はある。つまるところ、日本女性は寛大かつ広い心の持ち主であるから、二股恋愛も珍しくないし、同時に3〜4人ということもありえる。映画観賞用、食事用、車用、セックス用というぐあいに (*2) 。それならばセックスフレンドにおさまるほうが得策じゃない?

2. ひとたび日本女性と出会ってしまったら、フランス女性に戻るのは非常に難しいということである。日本に住みつつ日本女性と恋に落ちないようにする唯一の解決法といえば、家にこもってじっとすればよい (*3)

 
(*1) ”脚ばっかり”、”脚がいっぱい”という仏語表現。日本女性は脚がキレイだし目立つので、目の前は脚ばっかり、2本というより何本も持っている印象のことという意味。

(*2) 日本で言うところの”アッシーくん”、”メッシーくん”のことか。

(*3) 実はボワレ氏は日本人女性と国際結婚をしていたりする。

 
翻訳 / 関澄かおる

 
© 2006 Les Impressions Nouvelles / Frederic Boilet